memo
日々雑感、ときたまミニSS。
くまこい3
くまこい3話目。
それから、熊はケガをして帰って来ることが多くなりました。けれど、子犬にはそれが何故なのか分かりません。熊も熊で、それがどうしてなのかは子犬には一言もいいませんでした。
(信用してたのに。あんただけは違うって)
(あの子犬をそだてて、一緒になってオレ達を食べるつもりだろう?)
違うんだ、そうじゃない。
熊が幾ら必死にそう言っても、しかし森の皆は全く耳を貸してくれません。
それどころか、皆で熊を追い出そうと、土くれや石を投げては、熊を追い立てます。
「…どうしてわかってもらえないんだろうな」
熊はきょとんとする子犬を見下ろして、どこか悲しげな顔で呟きました。
「―この森を、出よう」
*つづく*
PR