memo
ありゃりゃ
なのでこっちにこっそり投下。始めはほのぼの狙ってたつもりだったのに…おかしいなー。
見てやってもええよな方は『つづきはこちら』からこっそりドゾー。…暗いよ?
(こんな時間まで、二人して何処へ行っていたの?)
バノーラ村のリンゴ農園が夕焼けの朱に染まる頃。
(…またあなたの言う『秘密基地』かしら?ジェネシス)
ジリアンのその言葉に、ジェネシスは少しばつが悪そうにぷいと横を向く。そんな親友の姿を見て、アンジールはあはは、と笑った。
(―さあ二人とも、お腹が空いたでしょう。ジェネシスも一緒においで)
幼い日。遠い昔。
それはまだ、『二人』が誰かの『天使』でいられた時代の物語。
■Angels' memories■
質素ながらも暖かい夕食が済むと、アンジールはたたた、と足早にテーブルから離れると、その手に大きな絵本を携えてジリアンの元に戻って来る。
ジェネシスは食卓に着いたまま、ただ黙ってアンジールの行動を目で追っていた。
「かあさん、『天使』って、ほんとにいるのかな」
そしてその小さな指で示したページ。そこには、白い羽根をその背に生やした、丁度アンジールとジェネシスと同じ程の年齢の子供の絵が描かれてあった。
最近の二人が良く好んで読む絵本。ジリアンはその絵本の絵を覗き込む様にしながら答えた。
「…さあ、私はこう言う天使に会った事はないわねぇ」
「そっか…」
そう言って、さも残念そうに肩を落とすアンジールに、ジリアンは苦笑する。そしてそれに重ねる様にジェネシスが言った。
「オレも天使なんていない って言ったんだ」
そんなの、絵本の中でだけの作り話だって。
つんと澄ました様に、わざと大人びた口調でそう言うジェネシスに、ジリアンは再び笑みを誘われる。
この二人は、本当に対照的だ。ジリアンは思う。
息子であるアンジールは、何処か純粋に過ぎる程素直だし。その親友としていつも傍にいるジェネシスは、俗に言う『ひねくれた子供』の類に入るのだろう。まだまだ可愛いものだけれど。
しかしそれでも共にいる。いつも、どんな時でも。
恐らく互いを互いが、知らず知らずの内に認め合い、支えあっているのだろう。
こんな小さな村(せかい)の中に、親友と思える相手と出逢えた事。それはこの子達の永遠の財産になる。
「でもね、私はこの絵本の中にいる『天使』には逢った事はないけれど」
『天使』には逢った事があるのよ?
不意のジリアンのその言葉に、アンジールとジェネシスは二人して首を傾げる。その兄弟の様に揃った仕草が余りにも愛しくて。
「ほら、いるじゃない。ここに二人も」
私の愛する『二人』の天使。
ジリアンはそう言ってジェネシスとアンジールをその腕に引き寄せるとふわりと優しく抱き締めた。
これから、あなた達にどんな運命が待ち構えていようとも、変わらずに、いつも二人で。
ずっと、一緒に居られればいいわね。
ジリアンは腕の中の二人のぬくもりを感じながら、心の中でそう願った。
そして、現在(いま)。
(こんな時間まで、二人して何処へ行っていたの?)
「…帰って、来たのね。アンジール、…ジェネシス」
バノーラ村のリンゴ農園が夕焼けの朱に染まる頃。
ジリアンの愛した息子達の背。そこに生えたそれぞれの異形の片翼は焼け落ちる陽の朱に染められて。
「 ―おかえりなさい。」
その言葉に、白き羽根を生やした『天使』は、
ただ黙って、彼女の元にその"誇り"を手放すと、
「 ―ただいま。」
そう言って、その頬に、見えざる涙を一筋流した。
それはまだ、
『二人』が、誰かの『天使』でいられた時代の物語。
そして、これから始まるは、
運命の奈落へ堕ち行く、二人の『天使』の物語。
■END■
暗いYO!!!あわわわ何だこのシリアスエンド!!怖!!