memo
おおお
さて、寝なければwwww
(認めて、くれたんだな―、アンジール)
その『剣』は今、ザックスの手に託された。
けれど、何故だろう。
こんなにも涙が止まらないのは。
■Sword of admission■
「すっげーーーなこの剣!すげーキレイだ…!!」
白銀に煌く刀身に、金色の柄、その中心に神羅の刻印が刻まれた、アンジールがいつもその背に背負っているバスターソードとは全く違うその軍刀を手に取りくるくると回して見せつつ、ザックスは思わず声を上げた。
この軍刀の持主である当のアンジールはと言えば、軍刀を手に持ちはしゃぐザックスを横目で見つつ、呆れたといった表情を浮かべている。
「おい、無闇に振り回すな、それは『真剣』なんだぞ。玩具じゃないんだ」
「わーかってる、分かってる… って あ!!!」
しかしそんなアンジールの注意も空しく、その刃は、彼の部屋のカーテンをまるで紙の様に容易に切り裂く。
その後ザックスを待っていたのは、アンジールの強烈な鉄の拳であった。
***
「…ったく、だからあれ程言っただろう、玩具ではないと(怒)」
「…スイマセン…(泣)」
拳の落とされた頭を擦り擦り、ザックスはその軍刀を元あった室内の隅のスタンドへと戻す。
けれど相変わらずその剣に魅入るザックスに、アンジールは思わず苦笑した。
「…そんなに気に入ったか、その剣が」
するとザックスは振り返り、頷く。その蒼の瞳をまるで幼い子供の様にきらきらとさせながら。
「だってよ!これってすっげー特別な剣なんだろ?」
確かにこの軍刀は、誰も彼もがおいそれと簡単に拝領出来る様な剣では決してない。
アンジール本人も聞いた所によると、この軍刀を与えられた者(ソルジャー)はこれまで殆ど無いと言う事だった。
「ああ、確かにそう聞いてる」
「だろ!?」
「―が、俺はそれ程、その剣自体に思い入れはないんだ」
「え!?なんで!?」
***
「だってこれ、アンジールが優秀なソルジャーとして認められたから貰えたんだろ?」
なのに何で?ザックスのそんな当たり前とも思える質問に、アンジールは。
「確かに、ソルジャーとして認められ、その剣を拝領した。それは確かに喜ぶべき事なのかも知れない。けどな、ザックス」
「…?」
「俺にはこの軍刀よりも、もっと大切な『剣』が既にあるから―」
そう言って彼が手にしたのは、軍刀とは真逆の無骨な大剣。仰々しい飾りも、煌く刀身も無いが、
そのかわりに彼の抱く様々な思い、祈り、願いをその身に刻み込ませた、彼の誇り。
「バスターソード か」
そのバスターソードの刀身を、アンジールは心から愛おしそうに見上げる。そんな彼を見て、ザックスは。
「なあアンジール」
「ん?」
もし、もしもいつか俺が、あんたを越える立派なソルジャーになれたとしたらさ。
ザックスは半ば本気で、アンジールに提案する。
「そのバスターソード、俺にくれよ!」
「………!?」
突拍子もないザックスのその言に、アンジールは思わず口を噤む。しかし次の瞬間には堪えきれない笑い声が零れ出た。
ザックスはそんな彼を刹那呆然と見つめていたが、俄かにぶりぶりと怒り出す。
「何で笑うんだよ、俺本気だぞ!?」
「ああ、すまない。余りにもお前が突拍子も無い事を言うんで驚いた」
「…どうせ俺には無理だとか思ってるんだろ(怒)」
「まあそうだな」
「うわ!ひっでえ!!それ先輩が可愛い後輩に言う言葉かぁ!?」
「可愛いかどうかはどうでもいいが、とりあえず今のお前の現状ではこの先何十年掛かっても無理だろうな」
「…(憮然)」
そして、一頻り言い合いを交わした後、未だ納得が行かないと言う風な表情を浮かべていたザックスに、アンジールが口を開く。
「…でも、そうだな」
「え?」
「もしもお前が、いつか俺を超える事が出来るソルジャーになったと認めたなら、その時は―」
この『剣』、お前に託すのもいいかもな。
アンジールはそう言って微笑んだ。
「その頃には、俺は恐らく引退 だ」
「…なんかそれ、結局ひどい事言ってるんじゃねーのアンジール…(怒)」
***
(認めて、くれたんだな―、アンジール)
そしてその『剣』は今、ザックスの手に託された。
けれど、何故だろう。
こんなにも涙が止まらないのは。
嬉しさでもない、怒りでもない、
ただ、悲しみ。
「…よくやった じゃ ねぇよ… っっ―!!」
どんなに栄誉のある軍刀も、このバスターソードもいらない。認めてくれなくとも構わなかった。
俺はただ、あんたに。
あんたに、生きていて欲しかった。
■END■
暗いいいい(震)!!こ、こんな結末にするつもりはなかったんだけどな…あれれれ
軍刀ネタを振って下さったGURさんにこのSSを捧げます…(汗)暗くなってゴメソ…