「いるもん!」
「いないもん!」
「おいおい、お前等なにケンカしてるんだぁ?」
スラムの片隅、小さな公園。
そこで繰り広げられていたあどけない話。
天使はいるのかいないのか。
ザックスはそんな子供達の話を聞きながら苦笑した。
■The last angel■
「兄ちゃんはどっち!?」
「いるとおもう?いないとおもう?」
不意に質問を振られたザックスは、んー、と少し考え込むと。
「…実はな、俺は天使とトモダチだったんだ」
「うそー!!」
「ほんとに!?」
子供達の瞳がきらきらと輝く。そんな様子を見て、ザックスは更に問い掛ける。
「お前等、天使ってどんなカッコしてると思う?」
「んー、まっしろな羽根があってー」
「はだかんぼでー」
「えいっ!ってやるやつもってるのー」
身振り手振りで懸命に話し続ける子供達。ザックスはそんな子供達の言葉を聞きながら、それぞれの頭をくしゃっと撫でた。
「そっかー。そうだよな。天使 ってそういうカッコしてるよなー」
「兄ちゃんのトモダチは?ちがかったの?」
「どんなカッコしてたの?どんな子だったのー?ねーおしえてよー」
するとザックスは聞きたいか?と尋ねる。うんうん、と子供達。興味津々の様だ。するとザックスは子供達の目線にまでしゃがみ込み、言う。
「じゃあ教えてやる!俺のトモダチはなー―」
はだかんぼじゃなかったなぁ(笑)。でも綺麗な真っ白い翼を持ってた。
そんで、えい!ってやる矢の代わりに、大きな、すんごい大きな剣を持ってたんだ。
「けんー?」
「矢じゃないのなんでー?」
「さあ。何でだろうな。でもその天使にとっては、それが一番大切なものだったんだ」
それで、それで?と催促をしてくる子供達に、ザックスは続ける。
「それでな、すんごく強かったんだぞ。きっと誰も敵わないだろうなぁ」
「だれもー?」
「かみさまも?」
「うん。そうだな」
きっと、神様にだって打ち勝つ筈だ。否、勝てた筈だろう。『運命の神』に。
あいつが、あの、『結末』さえ選ばなければ。
「…兄ちゃん、なんで泣いてるの?」
その子供の一言で、ザックスは自身がふと涙を流している事に気が付いた。焦って拭うその瞳からは、次々涙が溢れて落ちる。
「あれ、おか しいなー…はは」
「どっかいたい?ぽんぽんいたいの?」
なかないで、なかないで、と子供達が今度はザックスの頭を撫でる。
「…うん。痛いな―」
心が、痛い。
スラムの片隅、小さな公園。
そこで繰り広げられていたあどけない話。
天使はいるのかいないのか。
「…でも、天使はいたよ」
確かにこの世に。ザックスはそう言って、子供達をその腕に抱き締めた。
「なんだよ兄ちゃん」
「いたいよー」
アンジール、あんたはきっと、
この世で、最後の『天使』だった。
「ごめんな… ごめん …」
ザックスは何度もそう呟き、子供達の温もりをその腕に感じつつ、ただ涙を零し続けた。
■END■
んー 良く分からない感じに…orz